わたしはかれこれIT業界という電気電子的な世界を生きてきて10年ほどになります。
主にソフトウェア開発をしていますが、プロジェクトのリーダーをやってみたいり人を遣ってみたりもしてきました。
いろんな人達をみてきました。その中で、本当に稀なケースではありますが派遣社員を引き抜くということも見たことがあります。
今、派遣社員をやっていて、正社員になりたい!と思っているあなたへ…引き抜かれる人の特徴というやつを書いてみます。
目次
引き抜きされる人の特徴
1.レアなスキルを持っている
なんといっても一番大きな要素はここです。レアなスキルを持っている、ということです。
たとえば、IT業界の中でも機械やロボットを動かす組み込み系や制御系の業界では、ソフトウェア開発者よりもハードウェア開発者のほうがレアであり、重宝されます。
割合的に言うと、ソフトウェアが8割り、ハードウェアが2割りです。ハードウェアがむずかしいというのもありますが、そもそも志望する人も少ないです。
平たく言うと、
- 需要に対して供給が少ないスキル(人材)は重宝される。
インターネットゲームで言うと、攻撃キャラより回復といった支援キャラのほうが割合は少ないです。パーティメンバに必須なんですけどね。そういった需要があるのに供給が少ない職ってのは引く手あまたです。
特別なスキルがあるとか仕事ができる以前に、需要と供給の兼ね合い、その1点です。
同じスキルを持った人が2人いたとしても、タイミングによっては一方は引き抜かれて、もう一方は引き抜かれない、なんてのはよくあることです。企業がどうしても必要なタイミングにどうしても必要な人材が目の前に入ればコストかけてでも引き抜きます。
企業はそういうレアな人材を他の会社に取られないようにすばやく確保し、育てていき、ゆくゆくは教育者・指導者・管理者にさせていきたいと考えています。
2.無難な人間性
ですが、ただレアで供給が追いつかないスキルを保有する人間であっても、人間性もしっかり関わってきます。
- レアなスキルを保有しているのでチヤホヤされる。
- ゆえに調子乗ってしまう。
- よくキレたりドヤ顔している。
こんな人は論外です。クビを切られはしないけど多くの人は内心早いとこあいつ切ってくれ、と願っていることでしょう。もったいないですよね。大幅に給料を上げるようなチャンスを自分から潰してしまっています。
実際にそうやってチャンスを潰している人もいます。正社員よりも優秀なのに性格に問題があるというだけでずっと、何十年も派遣社員です。
なんかすごくえらそうにしている派遣社員とかいたりするのですが、おとなしくしていれば正社員になれて、本当にえらい人になっていたのでしょうけど。もったいない。
いくらレアなスキルを持っていたとしても、少ないだけであって他にもいるにはいるんです。あまり調子に乗らないことですね。
今まで接してきた人たちの中で、好感が持てるなぁと思った人たちは、
- 謙虚である。
- マジメ。
- 常に向上心を持っている。
派遣社員だから…と腐ってしまったり自分に自信を無くしてしまっている人も多く見てきましたが、引き抜きがどうこう以前に、常に何事にも真摯であるべきだとわたしは思います。
3.実績がある
スキルがあろうが、人がよかろうが、仕事ができなきゃダメ…!まぁ当然ですよね。ミスばかりする、よく遅刻するとか、ルールすら守れていないのは論外です。
割りと最低のラインなのですが、一緒に仕事をしていて『こいつ仕事できないなぁ…』と思うような人は引き抜き候補に上がったことはないです。むしろわりとすぐに切られます。
派遣社員を正社員にするということは、今までの3~5倍のコストがかかることになります。正社員がそれだけもらっているというわけではなくて、企業側からすると派遣社員と正社員のコストにはかなりの開きがあるということなんです。
あなたを派遣社員から正社員に引き抜くとして、その3~5倍のコストを埋められるだけの実績はありますか?
まぁ実績がある、というのが一番わかりやすいのですが、かならずしも数字だけでは測れないという面もあります。
軽く上述したように、企業としては今利益を上げなくとも、将来的にレアなスキルを保有する人間を量産してくれる、という、投資的な期待もしています。
4.変革をもたらすことができる
企業は基本的にしょっちゅう変革ってものを求めています。マンネリ化防止やモチベーション維持のためでしょうか、年度が変わる旅に体制を変更したりします。
企業が人を引き抜く、という行為は、新卒で人を雇うということとはまるで意味が異なります。
派遣社員から正社員になる、というのは、単純にあなたに労働力を求めているわけではないんです。労働力だけほしいのならば、あなたには安い金額で使える派遣社員のままでいてほしいのですから。
たとえば、上述したようにレアなスキルを持っているのであれば、そういう人材を量産する人になってほしいと思うでしょう。
つまり、引き抜き、中途採用というのは、その企業にとって何かしらの『変革』をもたらしてくれることを期待しているんです。それは会社の制度の改革とかでもいいんです。
企業が求める人材とは?
プロジェクトの構成はドラクエのパーティと同じ
けっこう多いのが、『わたし、なんでもできます!』というタイプ。企業側から見るとこういうタイプはいらないんですよ。
それはなぜか?あなたはドラゴンクエストというゲームをやったことありますか?
勇者・戦士・僧侶・魔法使い、それぞれの特徴・個性を活かして魔王を退治しにいきます。
魔法使い4人で魔王が倒せますか?Lv99のやつらが揃っていてもむずかしいでしょう!
ドラクエのパーティメンバと同じで仕事というのはそれぞれの個性をうまく理解・利用してこなしていくものです。
その采配でミスがよく起こるからプロジェクトが失敗したりするわけです。なので、なんでもできる人よりは、これに特化しています!とはっきり言える人のほうが重宝されます。
結局、引き抜かれる人というのは、なにか1点、誰にも負けなくような光るものを持っていたりするってことです。
他よりも強く光っているのか、それとも他に光ってる人がいないから、たいしたことないけど光って見えるのか、いろいろです。
まとめ
- レアなスキルを持っている
- 無難な人
- 仕事ができる!という実績がある
- 変革をもたらすことができる
- 上記の人が引き抜かれる(引き抜かれてきた)
派遣社員の場合だと、引き抜きされたい!正社員として働きたい!という気持ちが湧いてくるものでしょう。
ですが、企業側からすると、
- こいつすごく仕事ができるなぁ…。
- よし正社員にしよう!…じゃなくて、こんなに安く使えるなんてラッキー♪
- 辞めたら辞めたで次探せばいいや。代わりはいくらでもいる。
という感じなんです。派遣社員はあくまでも『労働力』であり、ただの手数に過ぎません。正社員が『頭』なんです。ゆえに正社員はみんなリーダーというか管理職の道に進まされます。これはこれで辛いんですけどね。
だからこそ、代わりはいない、正社員になったら頭脳となって働くことができる、と思わせることが大切なんです。
たとえば、『めっちゃプログラミングができる!スキル高い!』っていうのはすごくありがたいのですが、派遣社員のまま使えるのがベストなんです。『正社員にしてくれないなら辞める』って言われたら、代わりに普通の人を2人ほど派遣でつれてくれば穴は埋められるんです。要は企業にとって正社員にするってのはそれだけコストがかかることなんです。
それだけのコストをかけるだけのメリットがある、と思わせられれば、引き抜きもきっとあるでしょう。