潰瘍性大腸炎で仕事中に何度も席をはずしたり、たびたび休んだり、入退院を繰り返したり…日常生活に支障が出てきてしまっている方もいるでしょう。
そんな方であれば一度は大腸全摘を考えたことがあるのではないでしょうか?
大腸を全摘するってなると、その後の生活がどのように変化するのか全く想像ができなくて不安になってしまうんですよね。
大腸全摘した後は何ができなくなってしまうのか、そんな心配をしているのではないでしょうか。
今回はわたしが大腸を全摘してから出来なくなってしまったことについて書いてみたいと思います。
目次
大腸を全摘することで出来なくなってしまったこと
1.長時間、飛行機に乗る
潰瘍性大腸炎の大腸全摘手術に限らず、お腹を切り開く開腹手術をした場合には腸閉塞というリスクがつきまといます。
しかしご安心を。腸閉塞を発症する人は割合的にはかなり少ないです。わたしの担当の先生の話によると、腸閉塞を起こす人の確率はだいたい10%程度とのことです。
まぁわたしは見事にその10%に入ってしまったわけですが。
腸閉塞はいつ発症するのか全く予測ができません。突然!腸閉塞が発症してしまって一番困る場所はどこかというと、それは間違いなく飛行機の中でしょう。
飛行機が離陸した直後に『あれ…なんかお腹が痛い…』ってなったとします。腸閉塞はおどろくほど進行が早く、1時間もすれば脂汗がだらだら出て転げ回るような腹痛になります。
しかし、そんな状態になっても途中下車なんて出来ませんよね。スチュワーデスさんに相談して、『機内にお医者様はいませんか!?』ってことになるのだと思います。
仮に運良くお医者様がいたとしましょう。ですが、腸閉塞の処置はイレウス管という管を鼻の穴から小腸まで通す必要があります。これをやるためにはレントゲンが必須となるのです。
どう考えてもお医者さんはレントゲン持ち歩いてないし、飛行機にもレントゲンなんてないです。
飛行機が国内であれば長くても1~2時間程度ですのでなんとか耐えられるかもしれません。ですがこれが長時間移動の海外とかだと死を覚悟するしかないですね。
新婚旅行は海外旅行に行きましたが、その時はこのようなリスクに気づいてすらいませんでした。今思い返すとぞっとします。
また、腸閉塞は気圧の変化も関係していると言われており、飛行機だと気圧の変化もありますのでさらに心配なのです。
2.出世
わたしの会社では、出世するためにはTOEIC何点以上、というのが条件にあります。
別に勉強は苦ではありません。むしろわたしは勉強が好きです。若い頃まともに学校に通えなかったせいか、それともひたむきに努力を続けてきたことが身についたのか、30代半ばになっても勉強だけはやめませんね。
しかし、TOEICはただできればいいってものじゃないんです。TOEICができるということは、海外出張があるということです。
実際に、わたしの会社の上司は海外を飛び回っています。上述しましたが、わたしは長時間飛行機に乗るということはかなりキケンであると考えています。
海外出張しなければならないぐらいなら、わたしは出世コースをあきらめます。
腸閉塞はホンットに痛くて苦しいです。自分の人生の最後が腸閉塞ってのだけはカンベンしてほしいっていうぐらいに辛いです。乗りたい気持ちはあるのですが飛行機が怖いです。
難関と言われる国家資格取得したり、いろいろと会社でも努力はしてきましたが、わたしにとって会社での成長というのはこの先に行き止まりが見えています。
やっぱり病気の自分は何をやってもダメなんだなぁ、と考えてしまうのは昔のわたしです。落ち込んでいる時間のほうがもったいないです。
この先の道が行き止まりだとわかっただけで、スパっと考え方を切り替えて違う土俵で戦うことにします。
会社での評価は今後そこそこを維持し、副業を考えて稼いでいきます。
3.長期休みの旅行
長期休みの旅行はどこもかしこも混雑していますよね。行楽シーズンの高速道路は大渋滞です。
そしてこの大渋滞にもリスクがひそんでいるのです。どんなリスクかというと、渋滞に巻き込まれてトイレにいけなくなってしまうというリスクです。
わたしは過去に大渋滞に巻き込まれかなり辛い想いをしました。
高速道路の渋滞にハマる→トイレに行けない→腸閉塞…?→顔面蒼白・脂汗だらだら
大渋滞の高速道路で路肩に車を止め、車からティッシュ箱を持って草むらに隠れていきました…。この姿を見たドライバーの多くは何かを察したと思います。
大腸を全摘すると、健康な大腸があったころよりはずっとトイレが近いです。トイレの回数を気にして大腸を全摘する人もいるようですが、わたしの場合は1日で10回以上は通います。
腹痛はないのですが、とにかくお腹が張って苦しいです。トイレに行きたいと思った時にトイレに行けないと、やっぱり例のごとく腸閉塞になってしまうんですよ。
ある程度ガマンはできるけど、あまりガマンしてはいけないのです。
ですが、ここもやっぱり個人差が大きいみたいですね。わたしのように大腸があったころと同じぐらいトイレに通う人もいれば、1日2~3回程度という人もいるようです。
こういう個人差というのは、大腸全摘手術を執刀する医師のスキルが影響すると思いますので、病院だけはしっかり選びましょう。
4.お祭りなど人の多い場所
これは別に行けないわけではないのですが、できれば避けたい場所です。
お祭りのような、人の多いところはなるべく行かないようにしています。今度はトイレが大渋滞するからです。
トイレ渋滞にハマる→トイレに行けない→腸閉塞…?→顔面蒼白・脂汗だらだら
結局、行き着くところはすべて腸閉塞リスクというわけです。
お祭り会場で何度もトイレにいったりするので、お祭りに行ったのかトイレに行ったのかよくわからなくなってしまいます。
同じような環境でいくと、東京とかもあまり好きではありませんね。基本的に人混みが苦手です。
5.登山
わたしは富士山に登ってみたいとすごく考えています。できないことにチャレンジするというのがすごく好きです。
ですが、登山もまたわたしの身体とは相性の悪いスポーツです。
まず山にはトイレがない!登山をする方だと実際にはそこらへんで『お花を摘む』(山でトイレ的な)らしいのですが、富士山のように人が多くて草木がないような場所だとちょっと無理ですよね。
どうしても富士山に登りたかったからなのでしょうか。わたしはロードバイクで富士山を登るようになりました。
大腸全摘後、基本的にスポーツは出来ますが向き不向きがあると思っていますので、下記の記事を参考にしてみてください。
大腸全摘後にできなくなることの考え方
腸閉塞リスク
上述しましたように、結局最後にたどりつくのは腸閉塞というリスクなんです。
腸閉塞の原因はよく食べすぎだ、繊維質取りすぎだ、と言われますが、腸閉塞は食べ物だけが原因で発症するわけではありません。
腸にガスが貯まっただけで腸閉塞になることがあります。ガスが貯まる原因は空気を飲み込んだことによるものです。
わたしは食べ物ではなく、常にガスが貯まって腸閉塞になるパターンでした。お腹が破裂しそうなぐらいの苦しさがあります。
腸が癒着して動きが悪いみたいなんです。だからガスだけでも腸閉塞が起こってしまう。
腸閉塞が怖くてあれができない、これができない、となるのです。逆に言えば大腸を全摘して5年~10年経過しても腸閉塞を発症することがないようなら、なんでもできると思っても良いのではないでしょうか。
それこそ海外旅行も気にせず楽しめると思います。
トイレに行けない状態を作ってはダメ
腸閉塞を避けるためにはトイレはあまりガマンしてはいけないということです。なので、いつでもすぐにトイレに行ける状態にしておく、これが大事。
いつでもトイレに行けない状態というのは、高速道路の渋滞や人が多い場所で起こるトイレ渋滞ですね。
旅行・レジャーではなるべく人の多い東京方面には行かないようにしています。
わたしは人が少ないところに行くのが好みですが、子供が成長してからは行動範囲がどのようになっていくのか、ちょっと心配なところがあります。
東京には子供が遊べるところがいっぱいありますからね。
いつでも入院出来る環境でなくてはいけない
やはりいちばん怖いのは腸閉塞が起こってもすぐに処置できない状態にあることだと思います。腸閉塞は処置が遅れると死に至ることもありますからね。
上述したとおり、万が一飛行機で腸閉塞を発症したらと考えると怖くて仕方がありません。
病気のことは会社に隠していますが、もし海外出張行って来いと命令されたらわたしの洗いざらい告白して罪を精算しようと思っています。
それほどまでにわたしは飛行機に乗ることが怖いのです。飛行機で『お腹が痛い=死』って言っているようなものですから。
まとめ
まとめると下記です。
- 腸閉塞を発症してもすぐに処置できないような状況になることはダメ
- 腸閉塞リスクを高めるようなトイレに行けない状況を作ることはダメ
腸閉塞はそこまで心配する必要ないのかもしれないのですが、わたしは実際に大腸を全摘して腸閉塞を発症した人を何人も見てきています。
みんな同じこと言いますね、腸閉塞は苦しいって。それほどまでに腸閉塞は避けたいものなんです。
腸閉塞を発症するかどうかは個人差が大きいと思っています。発症する確率も低いとは言われています。
腸閉塞さえなければ、ちょっとトイレが多くて忙しいぐらいで出来ないことなんてものはそんなにありません。
スポーツに関してはトイレが近いことで向き不向きはありますが、短時間で決着が着くスポーツならさほどハンデも感じません。むしろハンデが輝くような気すらします。