わたしは潰瘍性大腸炎という病気を13歳のころに発症し、それなりに大変な人生を歩んできたつもりです。
こんなわたしでもその人生経験から講演を依頼されたことがありました。今振り返ると、とても稚拙なスピーチで恥ずかしい…。
講演のあとにとても参考になった!というありがたいお言葉もいただくこともありましたが、その中で気になる質問がありました。
その質問というのが、「就職活動の面接において病気のことを話したほうがいいのか?」というものでした。
今回は就職活動やバイトといった、就労に関する面接のときに、病気のことを素直に話すべきかどうか、わたしの観点から書かせていただきたいと思います。
目次
面接のときに病気のことを素直に話したほうがいいのか?
聞かれないかぎり話すべきではない
わたしの結論としましては、病気のことは『聞かれないかぎり答えるべきではない』です。
就職活動でわたしは10社くらいは面接にいきましたが、1つも病気のことを聞いてくるような会社はありませんでした。まぁ若い人はほとんどが健康ですからね。
あえて聞かれてもいないのに、『わたし病気持ってます!』なんていうネガティブアピールするのはわたしはおすすめしません。履歴書にも『健康状態』なんていう欄はありません。
自分の長所をアツく語ってもなかなか採用とはならない。今の時代は正社員というだけでも勝ち組です。
ちなみにわたしは病気を隠して会社に入社したわけではありません。聞かれなかったから話さなかっただけです。
病気が理由で迷惑をかけることがあるなんていうことは全く想像もできませんでしたので、何一つ後ろめたいことをしたつもりはありません。
当然ですが、『持病はありますか?』というような健康状態について聞かれたら正直に答えるしかありません。ウソをついたら履歴詐称で大問題になります。
面接のときに病気のことを話さないなら覚悟は必要
面接のときに病気を打ち明けないということは、就職後に病気のことで人には頼れないと思っておいたほうが良いでしょう。
潰瘍性大腸炎なら普通の人よりトイレが近い、なんていうこともあるかもしれません。それを指摘された場合は『すみません、体質なんです…』と言って逃げればよいでしょう。間違ってはいないはずです。
ちなみにわたしは大腸を全摘しておりますが、とてもトイレが近いです。しかし、かれこれ10年会社勤めをしていますが1度足りともトイレが近いということを指摘されたことがありません。
さすがに入院までしてしまうと病気のことは会社に知られてしまうでしょう。
わたしは潰瘍性大腸炎ではありませんが腸閉塞で何度も入退院を繰り返しています。未だに潰瘍性大腸炎のことは一言もしゃべったことはありませんが、そもそも腸閉塞ってお腹を切る手術をしないと発症しないんですよね。
いつも『むかし、ちょっとだけお腹を切ったことがありまして…』と説明しています。
さてさて、『ちょっとお腹を切った』の『ちょっと』の定義ってどのくらいでしょう?みんなは盲腸ぐらいを想像するかもしれませんが、わたしにとっては大腸全摘までが『ちょっと』なんです。
まぁこのように、2段、3段構えで対策を考えておかないと苦しいので覚悟しておきましょう。
病気のことを話しても話さなくても、どちらも大変な道であることに変わりはない
じゃあ結局病気のことを正直に話したほうがいいじゃん!と思われるかもしれませんが、はたしてそうでしょうか?
病気のことを正直に会社に話せば、胸を張って会社を何度も休むことができるのでしょうか?
病気とはいえ、何度も入退院を繰り返す人がいれば一緒に仕事している人に迷惑をかけてしまいます。というか面接で『病気で何度も入退院を繰り返すことがあります』なんて言って採用されるのでしょうか?
結局、病気のことをを話しても話さなくても大変な道であることには変わりないのです。
それならば、単純に就職率の高い道を選択したほうがお得なのでは?というのがわたしの理論で、『病気のことは聞かれないかぎり答えない』となるわけです。
面接時の注意点学生時代にがんばったことは?つらい闘病生活を乗り越えた!はNG
たまにいるのですが、難病という病気を乗り越えたということを武勇伝だと思っている人がいます。
つらいことをたくさん乗り越えてきた、自分がんばった!というのはよくわかるのですが、残念ながらそれはすべてマイナス経験でしかありません。
つらい病気を耐えてきたという忍耐の強さはあるのかもしれませんが、病気で入退院を繰り返すという身体的な弱さのほうが目立ってます。
病気でたくさんつらい想いをして、がんばって乗り越えたという経験を活かしたい気持ちはわかります。しかしそれは真の成功をおさめたときにはじめて武勇伝となるんです。
いつか、本当の成功をしたときのために今は心の奥にしまっておきましょう。
まとめ
以上のことをまとめますと下記の通りです。
- 病気は聞かれないかぎり答えないほうが良い
- 病気を打ち明けず入社するなら病気のことで甘えは許されない、覚悟が必要
- 病気を話しても話さなくても結局どちらも『いばらの道』
- 病気のことを話さないなら、バレたときのために2重3重の対策を考えておく
病人には本当に生きづらい世界ですよね。『差別だ!迫害だ!』と思うこともあると思いますが、残念ながら弱者が悪の世界です。
弱者に厳しい世界なんて間違ってますよね、わたしもそう思います。ただ、このまま世界が間違っていると叫び続けて世界を変えるのか、弱者なりに生きる方法を考えて自分を変えていくのか。
圧倒的に生存率が高く労力が小さいのは後者です。悔しいかもしれませんが現実をしっかり受け止めて自分の取れる選択、行動をすることをおすすめします。
ちなみに今回のお話は法律的なお話は考慮していません。ウソさえつかなければ大丈夫、と思っていますがあくまでも自己責任で。