潰瘍性大腸炎で大腸を全摘すべきかどうかの5つの判断基準

潰瘍性大腸炎になり入退院を繰り返してまともに生活ができない!

そんな悩みを抱えている人は多いはずです。現時点では完治するような治療法はなく、この苦しみから解放される手段として大腸全摘というものがあります。

しかし、これは一重のまぶたを二重にするような簡単な手術ではなく、1.5mほどの長さがある内蔵を摘出してしまうという大掛かりなものです。まさに人生を大きく左右する決断です。

自分は潰瘍性大腸炎に苦しんできた…でも大腸を全摘するほどなのだろうか?そんなことを考えたりしませんでしたか?

今回は、わたし自身の経験にもとづいた潰瘍性大腸炎で大腸を全摘すべきかどうかの判断基準についてかかせていただきます。

潰瘍性大腸炎による大腸全摘判断基準

1〜2年に1回入退院を繰り返している

これぐらいの頻度で入退院を繰り返している人は、おそらくまともな生活ができていないのではないでしょうか?

1年半に1回入退院を繰り返し、1回の入院で1〜2ヶ月かかったとします。おそらく入院の前後1ヶ月も体調が悪くまともな生活はできないはずです。

学生ならば、学校なんていくら休んだって構わない(学費のかかる大学は除いて)とわたしは思いますが、これが社会人だと間違いなく会社には居づらいし、休職期間満了で解雇なんていうこともあるでしょう

就労のために大腸全摘を視野に入れるべきです。潰瘍性大腸炎に負けなくても、社会に負かされます。

発症から10年以上が経過している

潰瘍性大腸炎は10年を経過すると大腸ガンのリスクが10倍になると言われています。実際に、わたしの知り合いでも大腸ガンを発症して大腸を全摘したという人もいました。

『どうせ取るのなら大腸ガンになる前に取っていれば再発のリスクもなかったのに…』とわたしのほうが思ってしまいます。

とはいえ、10年経過したらみんながみんな大腸ガンになるわけではありませんし、潰瘍性大腸炎の初回発作型であれば大腸ガンのリスクが10倍になるとも思えません。

潰瘍性大腸炎を発症してから10年経過し、かつ、頻繁に再燃と寛解を繰り返している人が大腸ガンリスクが高そうですね。

ステロイドの総投与量が1万mgを超えている

ステロイドの総投与量は生涯で1万mgが限度、とよく言われます。それ以上摂取すると重篤な副作用が発生するリスクが高まるというお話です。たとえば骨頭壊死や緑内障など、歩けなくなったり目が見えなくなったりします。

ちなみにわたしは2〜3万mgほど使っています。ずいぶん幅が広く雑な数字になっていますが、それぐらい大量に投与されてきたということです。

パルス療法という治療法をやってきたのですが、これはステロイドはちまちま投与るすより一気にドンッ!と流し込んだほうが効果が高いとするものです。

1日に200mgを投与する治療を何日も、何度もやってきました。こんなことを繰り返していてはいつ重篤な副作用が発生してもおかしくないですよね。

それでも、ステロイドに頼るしかなかったんですよね。

治療をしても効果が出ない『難治性』である

長い年月と大量投与により、ステロイドの効果が弱くなっていきました。こういった事情もあり、上述したパルス療法なんかもやっていたわけです。

ステロイドも効きませんし、それ意外の治療法(顆粒球除去両方、白血球除去療法など)も効果が出なくなっていました。

こういうのを『難治性』と言います。毎日ただひたすら効果の出ないステロイドを大量投与をしつつ、自然回復を待つだけの日々です

これならばステロイドの副作用が出る前に全摘した方がいいですよね。

症状が重症以上である

潰瘍性大腸炎は直接命に関わる病気ではありませんが、重症以上の症状であれば出血多量で命の危険があるかもしれません。潰瘍が深くなり、大腸に穴が開いてしまうこともあります。

わたしは中等症だったため、非常に大腸を全摘すべきかどうか悩みました。中途半端って一番困りますよね。『こりゃダメだね、手術が絶対必要だ』とお医者さんに言われたほうがずっと楽だと思います。

しかし、結果的には最後の最後で悪化して、一気に劇症までレベルアップ!相対適応(自分で大腸全摘を決定すること)と絶対適応(重症化により大腸全摘が必要であること)の両方を1回の人生で体験することができました。

それでも迷うあなたへ

大腸全摘手術をしている病院に相談にいこう

内科のお医者さんは、基本的にはよほどの重症で命に別状がない場合は服薬などの治療で病気を治そうとします。中には潰瘍性大腸炎の研究をしているお医者さんもいて、そういった方だとかたくなに手術は勧めないですね。

なので、一度参考までに外科のお医者さん、つまり潰瘍性大腸炎による大腸全摘手術の経験が豊富な病院にいって話を聞きに行きましょう。

おすすめの病院は下記の通りです。

  1. 横浜市民病院
  2. 横浜市立大学附属市民総合医療センター
  3. 兵庫医科大学病院
  4. 三重大学病院

人によっては『そんな遠いところ行けないよ〜…』と思われるかもしれませんが、遠くてもがんばって行ってください!これは人生を大きく左右することですので、何よりも優先して行くべきです。

この先一生のことを考えれば、たかだか日本国内を飛ぶぐらいたやすいことです。

全摘する勇気と、全摘しない勇気

さて、ここまで読んできてどのように思われたでしょうか?どのように思ったにしろ、大腸を全摘すべきかどうか決めるのはわたしではありません。

大腸全摘はすべて自己責任です。

最後にわたしから言えることは…。大腸を全摘するにはかなり勇気が必要です。だからといって全摘できなかった人を臆病者とは思いません。

全摘しない勇気っていうのもありますよね。勇気ある撤退とも言います。大腸全摘をまじめに検討しただけでも前進しているし、立派なことだと思います。

大切なのは、自分の選択によって後悔しないことです。

まとめ

以上のことをまとめますと下記の通りです。

  • 命に関わる状態なら大腸は全摘しよう
  • 治療により潰瘍性大腸炎より怖い副作用が出そうなら大腸は全摘しよう
  • まともな生活ができていないなら大腸は全摘しよう

いくつかの大腸全摘判断基準を書かせていただきましたが、全部を満たしている人もいれば1つしか満たしていない人もいるでしょう。でも、1つしか満たしていなくても大腸全摘が必要な人もいるかもしれませんね。

後悔のない人生にする、これを最優先してください。